交点の先で

思えば遠くに来たもんだ

Never ending the music

毎年、名付けられるツアータイトルに則して、パフォーマンスを通して伝えてくれているメッセージ、一連の流れに込められた意味を感じては受け取ってきた。去年も同じように「untitled」と名付けられたライブの意味を必死に考えていたけど、あの時はどうしても分からなくて。でもよく考えたら当たり前だ。だってその名のとおり、無題なんだから。タイトルを付けないライブで浮かび上がるのは、無着色の音楽そのものだ。一つ一つの楽曲に込められたメッセージが、そのままあらしからのメッセージなんだ。楽曲の物語性にフォーカスをあてて、それ自体をメッセージとするシンプルな構成のライブ。楽曲のテーマはそれぞれにあって、だからこその「untitled」なんだなって、映像を見てやっと腑に落ちた。

3時間のライブに一貫したテーマは無いけれど、楽曲それぞれがそのままあらしからのメッセージであり、その最後の結びとしているのがSong for youで。そう気づいてからSong for youを歌うあらしを見たら、どうしようもなく泣いてしまった。だって、思い返せば、あらしの歌はいつだってわたしのそばにあったんだもん。途切れずに、誰も離れずに、声を重ね続けてくれているんだもん。でも、それでもまだ、今は物語の途中だって言うんだもん。Song for you。このタイトル自体が、untitledツアーにおけるあらしからのメッセージそのものだ。これまであらしは、わたしを含めた、そこにいる"あなた"のために、歌を贈り続けてくれたよね。それはきっとこれからも。

思い返せば。小学5年生の時に欲しいものを聞かれて、なぜだかよく覚えていないけれど「あらしのPIKA☆☆NCHIdoubleっていうCDがほしい」と口にしたあの日から、今日まで。学校で友だちに嫌なことをされた日も。毎日机に向かってひたすらに参考書のページを開いていた日も。似合わないスーツを着て、自分なら大丈夫だと言い聞かせながら新しい扉を開いた日も。自分が何をやりたいのかさえ見つけられずに、重い足取りで満員電車に揺られた日も。いつだってあらしの歌を聴いていた。そして、変わらずに今も聴き続けている。歳を重ねて色々なことが変わってしまったけれど、それだけは今でも変わらない。わたしの人生は間違いなく、あらしの音楽と共にある。

じゅんくんがわざわざあの位置にもってきた「彼方へ」に、グループからの意志が込められていないはずがない。このライブでじゅんくんが伝えたかったことって、結局この歌のメッセージに尽きるんじゃないかな。特に、最後5人がリレーで歌っている部分。Song for you、未完、そして"Sing forever…"の歌い出しで始まる彼方へ。これからも僕ららしく歌い続けるよ、ってこんなにも伝えてくれてありがとう。これからわたしの人生に何が起きたとしても、そこには変わらず5人の声が、あらしの歌があるんだって信じられることにどれだけ救われるか。それだけで明日からもちょっと頑張ってみるかって、そう思えるんだよ。

あらしの音楽とは、あらしの歴史であり物語で、すなわちあらしそのものだ、とわたしは思ってる。Don't stop music-音楽が鳴り止まない限り、あらしの物語は終わらない。過去を振り返っても未来を見つめても、そこに5人がいて、メロディを重ねていてくれること。それはわたしのちっぽけな人生において、毎日を確かに歩いていくためのささやかな希望です。いつもずっと、本当にありがとう。そしてわたしは自分の物語を重ね合わせながら、これからもあらしの歌を聴き続けるよ。さあ明日からもまた、ちょっと頑張ってみよっかね。